無料ブログはココログ

書籍・雑誌

2009年1月10日 (土)

「バカでエースがつとまるか!」

元巨人のエースでV9を支えた堀内恒夫さんの「バカでエースがつとまるか!」を読んでみました。読みやすいエッセに近い本なので、あっという間に読み終わり、題名ほどのインパクトには欠けていますが、堀内さんらしい本です。

私は、第5章の「少欲知足」について書かれた第5章が面白かった。
この言葉は、堀内さんの座右の銘としていることは監督時代に読売新聞でも紹介されていました。
私も、「欲を少なくして足ることを知る」ということは良い言葉だと思います。

また桑田、齋藤、槙原を比較して述べているエース論も面白く読めました。
強いて言えば、もっと技術論的な話があっても良かったと思う。

とにかく巨人の18番の重みを感じさせる一冊ですが、堀内さんの自叙伝に近い本でした。

2008年7月11日 (金)

わがままなスターは必要ない!

先日、ベストセラーになっている杉山茂樹さんの『4‐2-3-1 サッカーを戦術から理解する』を読みました。
私は、サッカーも見ますが野球ほど熱心に見ているわけではないので、選手の名前も、あまりよく分からず疎い方なのですが、面白かった。

この書の中で、「ファンタジスタは布陣を嫌う」という章で、ルイス・ファンファールの発言「わがままなスターは必要ない!」に、興味を持ちました。

書では、このように書かれています。

布陣とスター選手は、とてもシリアスな関係にある。布陣には、自由を求めるスター選手を特定の場所に拘束する力がある。オールマイティーな才能にとって、布陣にとって、布陣の縛りは厄介以外のなにものでもない。逆に布陣にとって、スターの個性は厄介なものになる。
布陣の中に際立つ個人能力が綺麗に収まれば華と戦術が融合した好チームになる。バランスの取れた強豪になるが世の中にそうしたチームは多くはない。
スター軍団が好チームである場合は希なのだ。


サッカーの話なのですが、なぜか巨人が布陣に目をつぶり、清原、ローズ、ペタジーニと四番バッターばかり揃えた戦略が失敗したのを思い出し、面白い話です。

野球もサッカーもバランスが大切なんですね。

この本で面白かったのは、布陣について図形を使って分かり易く解説されていることです。
トルシエ、ジーコ、岡田と歴代の日本代表監督の選択した布陣に、辛辣な批評が新鮮に感じました。

2008年3月 2日 (日)

「子供は公立に預けるな!」

和田秀樹さんの新著「子供は公立に預けるな!」を読みました。和田さんの本は、これまでも何冊か読んで、歯切れの良い論調が読みやすく、この本も期待して読んでしまいました。

多分、読まれた方の中には、「何、言ってるんだよコイツは」と思われた方もいるかもしれませんが、和田さんらしい主張だよなと私は面白かったです。

和田さんの主張は、公立に預けるデメリットとして競争を過度に避けるため、勉強でもスポーツでも芸術でも自分の得意分野が分りにくく自信が持ちにくく、メンタルヘルスの面でも、いろいろと弊害があるという点。また「ゆとり教育」のために基礎学力の低下により高校で、相当に努力しないと私立で6年間勉強してきた子に太刀打ちできないという点などを挙げています。

私が読んでいて面白いなと思ったのは、「スクールカースト」についてて゜す。
この言葉は以前にも雑誌「アエラ」でも紹介されていましたが、いわれてみれば、昭和50年代の自分が中高生時代にも似たようなカーストはあったような気がします。
但し、今はもっとひどくなったのかと思うとちょっと辛い。
このスクールカーストの面でも、私立の中高一貫校の場合は偏差値の高い大学に進学するために学力向上を第一として勉強に力を注いだり宿題に取り組んだりと忙しいので公立よりスクールカーストの問題が生じにくいのではと主張しています。
確かに、目的意識がはっきりしている時って、こうしたカーストは起き難いかもしれません。また、こうしたスクールカーストから逃れるために、別の社会、別の価値観の世界を知ることにより逃れられると説明している点は精神科医の和田さんだからこそ説得力があります。
その別の価値観として塾の存在が重要であるとしています。学力は頑張れば上がる。本人にとっての納得性が高い点が良いとしています。

個人的には、公立、しっかりしてくれよと思うのですが、この本を読むと、やっぱり私立かなぁなんて思ってしまいます。

多分、賛否両論あると思いますが、面白い本でした。

2008年2月28日 (木)

『日曜日の夕刊』

重松清さんの『日曜日の夕刊』を読みました。短編12作が収められている、この作品。どの話も楽しく読むことができました。やっぱり「お話」は楽しくなければと思います。

まさにタイトルの通りに、つかの間の日曜日気分で読むことができました。

この作品の12作目『卒業ホームラン』は、どこかで読んだぞと思っていたら、昨年9月29日に読売新聞夕刊の「石原千秋先生の国語教室」で紹介されていました。穎明館中学の入試問題に引用されたそうです。重松作品は野球を題材にした作品が多いと思いますがレギュラー選手ではなく、補欠やレギュラーと補欠の境界線で頑張っている親子にスポットを当てている点が心憎いと思う。
この「お話」の主人公の徹夫は、息子と野球を始めたことを、きっかけとして少年野球の監督に就任するが、選手の力量を公平に判断しようとすると、息子の智を試合に起用することができないでいる。そして6年生最後の試合も・・・。
もし、自分だったら、自分の子の晴れ姿もみたいけど、他のお子さんの立場も考えるし、本当に辛い立場だと思う。是非、お薦めの一作です。

『桜桃忌の恋人』も面白かった。ちょっと軽いタッチだけど、面白い。
主人公は太宰治の「宰」の字を間違えて、ウカンムリに「幸」と書いたことからこの「お話」は展開するのですが、この間違いにより、主人公は永原ゆかりに「あんた、太宰治をなめてるの」と咎められる。そして言い訳として、「あのさ、だからさ、太宰って辛い人生を送ってきた人じゃん。せめてオレ的には幸せになって欲しかったわけ」と即興のアドリブで返すのですが、太宰の宰の字に注目するところが上手いなぁと思いました。

『サマーキャンプへようこそ』も笑えました。ちょっと話が異なりますが、映画『シティスリッカーズ』的な面白さがありました。特にパパがいい。虫が嫌いで、紐も結べない程の不器用でアレルギー体質のパパが、アウトドアにチャレンジするというシチュエーションだけでも面白い。また、大自然=善。都会=悪といったステレオタイプを皮肉っている点も面白かった。圭太くんの醒めた感想、良く分ります。

『すし、食いねぇ』も面白い。幸せの尺度について考えさせられる作品で、ちょっとホロリともとました。
貧しさと不幸せとは、ぜったいに違います。でも、読んでいて思わず吹き出しそうになったくらいに面白かったです。

『さかあがりの神様』この作品も良い作品です。弟の孝史が生まれて、お母さんを奪われた形のなった小2の葉子の気持ち、我が家も年の離れた姉弟がいますので、身近な話に感じました。それにしても、この作品は中学受験で、本当に数多く出典されているんですね。それだけ良い作品ってことかな。

2008年2月27日 (水)

「ビタミンF」

重松清さんの『ビタミンF』を読みました。

この作品は、作者自身が、ひとの心にビタミンのようにはたらく小説があったっていいとして、ファミリー、ファザー、フレンド、ファイト等、Fで始まる単語をキーワードとして書かれた7つの短編小説です。

なんか最近、定番の単発ドラマを楽しむように重松作品を楽しむこの頃ですが、タイトルのビタミンを与えられたかというと、ちょっと私にとっては、今後どうやって問題を解決していったんだろうと、読み終わってからも何となくスッキリしない作品が多かった気がしました。

読んでいて一番スッキリ楽しかったのが、一話目の『ゲンコツ』。

『ウルトラマン』シリーズに始まって、『マグマ大使』『ミラーマン』『アイアンキング』『人造人間キカイダー』『怪傑ライオン丸』『科学忍者隊ガッチャマン』『マジンガーZ』・・・。正義の味方のテレビ番組が、どうしてあの頃はあんなにたくさんあったのだろう。勇気のある少年たちが、テレビの中にはどうしてあんなに数多くいたのだろう。(本文)

あの頃、正義の味方に憧れていた子供たちも40歳前後となり体力の衰えを感じ、やっとの思いで手に入れたニュータウンのマイホームにオヤジ狩りを恐れながら帰るシチュエーションが、同世代として寂しい。でも、ラストの場面で勇気を出して問題解決し、マンションの廊下で、ライダーキック!とうっ!と喜ぶ主人公の気持ちってよく分かります。

一番、悲しかったのは四話目の『セッちゃん』。我が子が中学で苛められていることを知った主人公家族。今後、どういう風に苛めと対峙していくのかとても心配。主人公の娘、加奈子が「身代わり雛」を流す場面で「流しても、いじめ、止まんないよ?そんなに現実、甘くないもん」というセリフが悲しかった。

読み終わった感想として、短編集としては、私は『日曜日の夕刊』『小さき者へ』『送り火』の方が好きかな。

2008年2月18日 (月)

桑田真澄 ピッチャーズ バイブル

巨人の辻内投手が肘の内側側副じん帯再建手術後に初めてブルペン入りした記事で思い出したのが、昨年9月に文庫本化された石田雄太著『桑田真澄 ピッチャーズ バイブル』です。

この本は桑田が内側側副じん帯の手術を受けてから3年間を中心に書かれたものですが、あの桑田ですら、かなり苦悩していたことが知ることができます。

私は桑田投手をPL高校時代から好きでよく見てましたが、桑田投手のピッチングは、いつもワクワクさせられました。
あの小さな華奢な体でなんで、あんな凄みのあるピッチングができるのだろうかといつも感心していました。

デビュー1年目は2勝しか挙げられませんでしたが初勝利を東京ドームで完投勝利をテレビで見た時の感動を今でもよく覚えています。たしか最後はセンターフライで討ち取ったと思いますが、その後に桑田がグラブをポンと叩いたシーンが印象的でした。

この本を読んで、桑田って本当に誤解が多くて気の毒な投手だなと思いました。江川の後のダーティーヒーローにされたことは、本当に残念です。
いつも思うのですが夕方のタブロイド紙の中傷記事は酷いと、いつも思っています。特に夕刊フジは、よくもここまで書けるなと思う位、酷い。
この本の中でも桑田が肘を怪我して渡米する年の夕刊フジの憶測記事の酷さは今でもよく覚えています。

まだまだ現役で頑張る桑田。これからも応援したいと思います。

多分、辻内投手も、この本を読んでいると思いますが、焦らず焦らずリハビリを続けて欲しいと思います。またマスコミは巨人を悪者にして辻内を潰したとか育成に失敗したとか書くのでしょうけど、私は辻内投手の復活を期待します。

2008年2月12日 (火)

あかね色の風/ラブレター

あさのあつこ著の『あかね色の風/ラブレター』を読みました。
「あかね色の風」の主人公の遠子のキャラクターが、「バッテリー」の原田巧の原型という解説を見て、読んでみました。

私の遠子に対する感想は、巧くんより優しくて普通じゃないかなと思いました。
確かに、不器用で他人には理解されにくいタイプですが、とても思いやりがあって相手の立場に立って物事を考えられる子だと思います。

巧くんと似ているのは、自分という芯が強いこと。

千絵とナウマンゾウの化石の発掘現場に行き、警備員のおじさんに見せて貰えなかった時に、あっけなく引き下がった千絵に対して、遠子は、
諦めたらだめなんだ。諦めて、従ってしまったら、どんどん惨めになっていく。
と書かれています。こら辺の考え方なんて『バッテリー』の原田巧と似ている気がしました。

こんな、遠子と千絵の成長ぶりを、もっと長くみてみたいと思わせる作品ですし、6年生って、こんなに大人っぽく、しっかりしているのかなと感心してしまいました。

もう一編。『ラブレター』は5年生の女の子、愛美がクラスメートの男の子にラブレターを渡す話です。5年生ですから、先ほどの遠子の一つ下ですが、随分と精神的に幼く感じました。
作品として可愛い、お話です。

でも本音としては長女・珠美と両親の今後の関係の方が気になるのですが。。。

2008年1月 2日 (水)

「熱球」

本屋で平積みされていた重松清作品の「熱球」を買い、あっという間に読んでしまいました。読んでいて涙が出そうになってしまい30代後半から40代の男性読者にとってはきっと感動できる本ではないかとおもいました。
多分、高校、大学生が読んでも、他人事に感じだからどうしたのと思うかもしれませんが、結婚し、子供ができて、親の介護や子の教育、仕事上の悩みなど何らかの問題を抱える年代の読者が読んだ方が、大きな共感を感じることが出来るように思う。
まあ、これは他の重松さんの作品も同様なのですが。

 主人公のヨージは20年ぶりに一人娘と二人で故郷に帰るところから始まります。

 そして、地元で暮らす友人と故郷から逃げるように都会に出て変わってしまった主人公との微妙な距離感。主人公の父親の介護か都会育ちの妻と娘を選択するかという葛藤。いろいろな葛藤が織り交ぜられている点は重松清作品らしいところです。

そして最後は解決とはいかないまでも、登場人物がそれぞれ、新たな一歩を踏み出したところで終わる点も重松作品らしい。後は読者の想像にお任せという点も重松作品の定番のエンディングです。

 この作品の隠し味としては、殆ど思い出話の中にしか登場しないいザワ爺なのかもしれない。ザワ爺の「ようがんばった、ようがんばった」の言葉が本作品のキーワードかもと思いました。

高校野球は優勝校を除いてみんな負けを経験します。負けても胸を張れというところがポイントです。
重松作品の『小さき者へ』に収められている『3月行進曲』の中にも
どの学校だって、どの選手だって、みんな勝ちたいのに、勝つために厳しい練習をつづけてきて、勝ちたいから必死になってボールを追いかけるのに・・・それでも負ける。
(中略)
この場にはいない何万人もの選手たちの姿を思い描く。
思いとおりにならないこと。これからもたくさんあるんだぞ、といってやりたかった。


と書かれています。

思い通りにならず負けてしまうことが多い中、「ようがんばった」と励ましてくれるザワ爺の存在は小さくないと思います。

また故郷の父と妻や娘を取るかで葛藤している主人公に対して、妻が優柔不断と非難しますが、後にメールで謝ります。
あなたは優柔不断になったのではなく優しくなったんだ。優しくなったから辛くなる。「優しい」という字は人が憂うと書くんですね。と要約するとこんな感じでメールは書かれていますが、うまいなぁー。
優しいは人が憂うと書くんだよと今度ね飲み屋で使ってみようかななんて思ってしまいました。

このネタを重松さんは、どこから仕入れたかしらと思います。

2007年11月27日 (火)

「小さき者へ」

すっかり重松清ワールドにはまり、「小さき者へ」も読みました。

「送り火」に比べると生と死については扱ってなく、話の結末が、各主人公の再出発で終わっているだけに、軽い気持ちで読むことができました。

2話目の「フイッチのイツチ」の朋美って、何となく性格が「くちぶえ番長」のマコトと似ている気がしました。重松さんってこういったタイプの女の子を描きたいのかな。
両親が離婚した子供たちの計画は失敗してしまったけど圭祐君の考えが気持ちいい。

性格はフイッチの二人なのに、ぼくを応援するのはイッチしている。(中略) ぼくはお父さんとお母さんの息子で二人のことが大好きで、でもやっぱりトモの言うとおり、ぼくはぼく、なんだろう。

そうそう、両親とも離婚しても圭祐くんを応援しているよと言いたくなりました。

3話目の「団旗はためくもとに」の美奈子ちゃんもいい。
人間にはグランドでプレーする人、それをスタンドからみている人、そしてプレーする人を応援する人の3種類いることに気付いた美奈子ちゃん。立派な美容師になれるといいね。

4話目の「青あざのトナカイ」脱サラしてFC加盟してピザ屋を開業するが失敗。脱サラって難しいし私には主人公のような勇気がない。チャレンジできただけでも素晴らしいと思う。

5話目「3月行進曲」少年野球の監督を務める雅人は、家族の理解を得られない中で少年野球の監督を引き受け、自分のチームの子ども達3人を春の選抜甲子園大会入場式に連れて行く話。
雅人は甲子園の入場行進を見ながら感じます。

どの学校だって、どの選手だって、みんな勝ちたいのに、勝つために厳しい練習をつづけてきて、勝ちたいから必死になってボールを追いかけるのに・・・それでも負ける。
(中略)
この場にはいない何万人もの選手たちの姿を思い描く。
思いとおりにならないこと。これからもたくさんあるんだぞ、といってやりたかった


高校野球はどんなに頑張っても優勝できるのは1チーム。みんな一度は負けてしまいます。思い通りにはなりません。でも、負けてもそれで終わりではないはずです。
再チャレンジだってアリのはずです。

そして最後に凄いなと感心したのは、本題ではないのですが華恵さんの解説。この解説を書いたのが中学3年の時らしいのですが、本当によく書けています。今、こうやって自分が書いている文章を読み比べると、本当に恥ずかしくなる位です。きっと私なんて何年かかっても、こんな風には書けないだろうな思うし一種の天才ですね。

2007年11月26日 (月)

「送り火」

重松清さんの短編小説集『送り火』を読みました。
この作品は、多分京王線をモデルとした架空の私鉄線「富士見線」沿線を舞台としたストーリーを9作綴っています。

通して読んでみると9作とも生と死を扱っています。怪談めいた話が「フジミ荘奇譚」「ハードラック・ウーマン」。冒頭の2話が怪談めいていたので残り7話もこの類の話かと思い、見構えて、3話目の「かげぜん」を読んでしまいました。

「かげぜん」は我が子が小学校入学直前に病死してしまった夫婦の話。死んでしまっても我が子が生きてることを前提に送られてくるダイレクトメールをめぐるストーリーが切なかったです。息子が死んだ事を素直に受け入れなくて、ダイレクトメールの名簿の中だけに生きている息子の存在を守ろうとした母親の気持ちがとても切なかったです。
こういった話を読むと子供が健康である事に感謝しなければと思います。
ただ、冒頭2話が怪談めいていたので、子供が幽霊になって現れるのかなと思いながら読み進めてしまったことに、ちょっと後悔しています。

4話目の「漂流記」は、公園デビューを巡る気苦労なママの話。たまたまデビューしたママさんグループのリーダー格のママさんの子の名前と自分の子の名前が似ていた為、やむなく我が子を公園では家と違った呼び名を使う羽目になったりと、公園を漂流するママの物語。確かに有り得そうな話で面白かったです。

5話目は「よーそろ」。この話の中の<ムラさんの世界放浪日記>が、面白い。
ムラさんは人間関係で躓いている人に対して、次のように述べています。

世の中には「いい奴」もおるし、「嫌な奴」もおる。それが現実や。自分は「いい奴」としか出会いとうない?アホか、ずうずうしいにもほどがあるわ。逆に言うたら、「嫌な奴」に出くわしても、そんなに落ち込むなや。なあ。
丁半博打と同じや。たまたま裏目の奴と会うただけのことやないけ。
                                                                            (原文より)

私も、ムラさんに励まされてしまいました。そうそう人生において「嫌な奴」もいるけど「いい奴」もいる。

6話目は「シド・ヴィシャスから遠く離れて」
若い時、パンクに嵌った人たちも、もう中年なんですよね。

私が個人的に一番ジーンときてしまったのは7話目「送り火」
架空の私鉄「富士見線」沿線で唯一の遊園地「富士見ドリーム・パーク」の閉園に纏わる話。
主人公の弥生子の両親は、新宿から一時間ほどの最寄り駅から更にバスで25分の「ドリーム・パーク」に隣接する団地を苦労して購入しました。
弥生子の父は、弥生子の喘息に少しでも良いようにと、この団地を購入したのですが、住宅ローン返済の為に無理して働いて弥生子が小学4年生の時に亡くなってしまう。弥生子は遊園地で楽しく遊ぶ家族連れを見るのが辛い日々を過ごすのですが、物語はちょっとした奇跡を起こす、ちょっと涙を誘う話です。
9話目の「もういくつ寝ると」もそうですが、私鉄沿線は新しく開発されたニュータウンが多く、私たちの親の世代は、みんな苦労して不動産を購入した人も多い。今は時代から取り残された建替えもできない古い団地に住む高齢者も結構います。住人にとって私鉄は生活の一部ですから、住人の数だけ物語があるはずです。
私鉄沿線のそれぞれの物語。ちょっと切ない物語もありましたが、通勤時間を楽しむことができました。

そうそう8話目の「家路」にも幽霊が出てきます。

2007年11月 9日 (金)

口笛吹いて

重松清さんの「口笛吹いて」を読みました。

前に「エイジ」、「くちぶえ番長」と続けて読んで、本屋で重松さんのコーナーであれっと思って手に取ったのが「口笛吹いて」。
重松さんは、口笛が好きなのかなと、軽い気持ちで購入しました。

この本は5編の短編集ですが、どの作品も人生の所謂「負け組」にまつわる話です。

「口笛吹いて」は総務課長の順平の元に、くたびれたセールスマンとして訪れたのが順平の小学校の時に憧れのヒーローだった晋一。
晋一は将来を嘱望された投手で地元のヒーローで自信家だったが高校で肘を痛め補欠となり、高校中退、結婚にも失敗、転職を重ねて、所謂人生の「負け組」となっていく。
一方、順平は大学を出て普通に就職して家庭を持ち普通のサラリーマンとして過ごし、「勝ち組」的な人生でいる。そんな二人が偶然出会う話。
この二人を少年野球のレギュラーと補欠のギリギリの所で争っている、順平の息子・和志を通して、物語を展開させていくところが面白い。
負け組として負け慣れてしまった晋一が
「やっぱり、野球はいいもんなあ。ほんとだぞ、俺は今でも野球は好きだよ、いちばん好きだ」
というセリフに、ホッとしました。

個人的には4話目の「春になれば」が一番、心に残りました。泣けてきました。
子供が亡くなる話って親になってみると辛いですよね。

2007年9月 2日 (日)

バッテリーの不思議

あさのあつこさなの「バッテリー」を1巻から6巻まで読んでみました。
中学生の野球少年の物語で登場人物も個性的で楽しく読めましたが、通して読むと何となく不思議な点もあり、気になりました。

大きな疑問として、主人公、原田巧が入部した新田東中学の野球レベルが、物語の前半と後半では、設定が異なっているのではないかという点。
そもそも2巻では、巧が野球部のレベル、練習姿勢に疑問を持ち入部届を、わざわざギリギリ出さず、自主トレを選んだ位のチームが、全国ベスト4まで勝ち進んだ横手中と互角に戦えるとは、とても思えない。まして前半では3年生のうち主将の海音寺だけが野球が好きという設定が、後半はウヤムヤになった感があります。

また、後半は海音寺がやけに勘の良い、観察力の強い人間に扱われているが、それ程の人物がなぜ、前半の展西によるリンチ事件は未然に防げなかったのか。
展西は副キャプテンを務めていた人物ですから、海音寺が何も気付かなかったというのは不自然な気がする。
リンチにはエースの緑川を含めて数人が加わっていたのだから、後半の海音寺なら事前に気付き何とかしようとしたに違いないと思う。

野球レベルについても、確かに戸村による厳しい指導を3年間受けたにせよ展西は、巧に野球部のモットーは、無理、無駄なことはせず楽しくやることと伝えています。
こんなチームが全国レベルのチームに互角に戦うのは、原田巧という天才投手を擁していたとしても、ちょっと設定に無理があるのではないか。

6巻を通して読むと、同じ「バッテリー」という題名で登場人物も同じだけど、微妙に設定を変えている感がします。

後半は主人公の原田巧よりも、横手の瑞垣の苦悩ぶりがよく描かれていて陰の主人公みたいにも感じました。

少年の成長を描くという点でいうならば、瑞垣の苛立ちぶりの方が理解しやすく原田や永倉よりも面白い。巧の性格は単純すぎる気がして、その単純すぎることが他とトラブルを生み、どうその単純さを貫いていくのかといったストーリーにも感じ、後半はあまり魅力を感じませんでした。(前半は魅力的ですよ!)

通して読んだ感想としては、1巻が一番面白かった。豪が初めて巧の球を受ける辺りなどは少年らしく微笑ましく読むことができました。

6巻まで全体でいえば、4巻の青波に誘われて、永倉、吉貞、門脇、瑞垣らが純粋に草野球に興じている場面が、ほのぼのとして好きです。
また、6巻通じて公式戦の試合場面はなく、試合の中でマウンド上での巧の微妙な心理状態も描かれていたら、もっと面白かったのにとも思えました。

2007年8月 8日 (水)

「くちぶえ番長」本当に読んだ?

私が読み終わった「くちぶえ番長」は、そのまま無造作にリビングのテーブルの上に放置されていました。

しばらくすると、小3の娘が、「この本、何?」と言って、ページをペラペラめくり読み始め、2日程で読み終わったと言います。

確かに読みやすく。娘でも十分理解できる内容だけど、少し読む時間が速すぎる感じがして多分飛ばし飛ばし読んだのではと思えます。

「じゃあ、どんな話?」
「うーん、マコトが最後に転校していなくなっちゃう話」
とりあえず、最後まで読んだのは事実みたい。

「じゃあさぁ、・・・」とあれこれ、質問すると、まぁ、取りあえずストーリーは理解しているみたいです。
本当は、もっと、じっくり読んで欲しいんだけどね。

2007年7月20日 (金)

「くちぶえ番長」読みました

先日、『エイジ』を読み終わって、主人公エイジの気持ちって、何だかわかる。
キレたいけど、キレないことに対する苛立ちってアリだと思もいます。
自分と相手とのつながりが煩わしくなって断ち切ってしまうことがキレるじゃないかとエイジが感じた感覚って、40を過ぎた私でもアリだと思いました。
『エイジ』は、中学生の男の子の生理的現象も書かれていますし、小3の娘には、まだ絶対に理解できない内容でした。

そして、今回、読んだのが「くちぶえ番長」

ブルックシルクさんのプログに紹介されていた本です。内容的には、小学生向けに書かれた本ですから通勤電車で2日で読み終わりました。

主人公のツヨシと転校生の女の子マコトの交流を描いた内容で、番長・マコトの物分りの良さに涙を誘われます。
妻も読みましたが、キツチンで目を真っ赤にして読んでいました。
決して暗い話ではないですから、お勧めの本です。

この本でしたら、娘にも薦めることができそうです。

2007年7月12日 (木)

『エイジ』買いました

私は先日の重松清作品にちょっと興味を持ち、娘に勧める前に自分でも目を通しておこうと、娘と本屋へ行きました。
書店では、ちょうど夏休み前ということもあり、新潮文庫の100冊とか角川文庫の100冊とか100冊が売りのように文庫本が平積みされていました。

新潮文庫の100冊というと自分が中学生だった頃、夏休みの宿題で読書感想文を書かされた苦い思い出があります。
(当時、自分が何を読んだのかはっきり思い出せませんが、新田次郎の『八甲田山死の彷徨』を読んだ記憶があります。動機もちょっと薄いし、映画でやっていたからとちょっと浅はかなものでした。)

そんな新潮文庫の100冊の中にありました、重松作品が。
『エイジ』
想像していた以上に厚い本で、正直驚きました。恐らく、自分が中学生だったら、この本の厚さを見て敬遠していたことでしょう。
取りあえず、中身もあまり確認しないで買いました。高橋秀樹さんの『中学受験で子供と遊ぼう』の中で武蔵中学の国語出題作品が『半パン・デイズ』を予想した結果、『エイジ』だったと悔やんでいたあの本です。
通勤電車の中で読み始めたばかりですが、中学生の男子の微妙な心理を写実的によく描かれている作品だなと感じました。また、当たり前だけど、この本の登場人物の親の方が自分と近い世代であることにちょっとショックを受けましたが(笑)

そして、本屋のレジで買い終わった頃、娘は、また何か見つけたようで、私の所に素っ飛んできました。
「これこれ、この本ね、私が読んだ本の続きなの」
私は???
娘の説明によると、『斉藤孝のイッキに読める!名作選3年生』の中に収録されている「名探偵登場」の続きの本だということで、題名は『そして5人がいなくなる』

本屋で『イッキに~』を見てみると、確かに「名探偵登場」は『そして5人がいなくなる』の一部分と紹介されています。

まぁ、何でも読んでくれればいいやと、その本もついでにレジに並び直して買って家路につきました。まだ3年生では、ちょっと『エイジ』は無理ですね。

にほんブログ村 教育ブログ 小学校教育へ

2009年12月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

最近のトラックバック